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月の櫂

詩のグループから名前をひきついだ個人ホームページ「月の櫂」(現在閲覧できません)の作者のブログです
by 月の櫂
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メモ帳
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2022年「題詠100首」、参加しています

Facebookで開催されているる題詠百首に参加しています。
2005年、2015年につづき、三度目の参加です。

2022-01:来  今ここにある現実がかつてひたすら望みたる未来であれば

2022-002:扱  公休の扱ひ多しと噂あり構へて受けるワクチン接種

2022-003:巡  巡回の老警備員前職は何であつたかとふと思ふ夜   

2022-004:積  積雪のニュースが告げる週末よその後に来む春を告げつつ

2022-005:時期  時期が来れば何とかなると逃げるうちに時期を逸する他力本願 

2022-006:瞳  瞳の奥に住むのはヴェールかむりたる天使かもしれぬ眼底検査

2022-007:数  休日の特急列車の本数を地図に確かめてゐる部屋の中

2022-008:ひたすら  冬空の嫉視もやがて溶けゆかむただひたすらに降り続く雪

2022-009:炊  炊き出しの長き列ある公園の冬を告げ来るニュースの白さ

2022-010:景色  ふと気づく空気の冷えにカーテンを開けば雪虫!舞ふ景色あり

2022-011:他  選択肢「その他」の番号をタップするその先に人の声あると知りつつ

2022-012:軒  途中下車して会ひに行く軒先に巣をかける燕と雛に今年も
 
2022-013:いっそ  仮名遣ひ誤つたまま残りたる歌もあるらんいつそそのまま

2022-014:近   旅先は近場ばかりとなる日々よ夕陽かがよふ海を恋ひても

2022-015:贈  贈られしもののひとつに「使命」ありその中に「命」あると告げ来る

2022-016:若者  若者の背には大きなリュックあり数学の参考書顔を出しをり 

2022-017:代   先祖代々の墓と彫られた石があり誰でもないことに少し安らぐ

2022-018:足   ひとしきり歩いた後の足湯には何故(なにゆゑ)か混浴の木札ありけり

2022-019:諾   諾否問ふ葉書をくれし東京の道には塩化カルシウム撒かれゐるとぞ

2022-020:段階  いまだその段階になき草案の結語そこまで見えかかつても

2022-021:居  部屋に居て全首都圏を降り覆ふ雪を思えば窓の明るさ

2022-022:挑 「窓ゆ」とふ語に挑みつつ揺れてゐる朝の光を眺めてゐたり

2022-023:ロマン  水を汲む少年の絵を恋ひたるはいつの日星座表にはロマン 

2022-024:彫  持つ人が持てばさうなり羨しかり彫刻刀から出てくる仏

2022-025:乳  いま鳥が渡つたかしら漆黒の空に流れる乳の道(ミルキイウェイ)を 

2022-026:紹介  引越した先の医院に封のされた紹介状を手渡してをり

2022-027:託  健康を生命を託すことができたと外つ国のコロナのニュースありかなしき   

2022-028:中央  群れ咲けるナガミノケシの鮮やかさ中央分離帯に見つつ走りき

2022-029:秘  趣味ではないことは最大の秘密にて履歴書の趣味欄に短歌と書けり

2022-030:以  私は私以上でも以下でもない時に「私」は存在せぬのかと悩む

2022-031:あたふた
  バレンタインチョコの売り場の混雑にあたふたとエスカレーターにくだる

2022-032:偏  それはもう偏光レンズに透かし見た心のやうに春のあはゆき

2022-033:粗  いつよりか塩分量のみ気になれど鯛に振りたる粗塩は美し 

2022-034:惹  えろじいさんのエゴにはさはらずおくと決めるたとへ惹かれた人であつても  

2022-035:日常  夜半焼死せしは工場清掃の母たちとありその日常を知り初む

2022-036:醜  醜悪なものは見たくはないされど懸命に視る国会中継

2022-037:述   冬の間(ま)に白くなりたる手の甲を陽に当てながら述懐を聞く  
  
2022-038:襲  虎に襲はれたる飼育職員のごとおそるおそる入る猫カフェ

2022-039:グループ  後遺症なきグループの経験談のみ見ることにせり接種日までを

2022-040:探  探してた本とはどこかが違つてる著者を失くしたその言葉たち

2022-041:江  ○さん江、と書かれた色紙掲げられ大衆食堂の壁はにぎやか 

2022-042:懸  降り出した雨は埃に匂ひたつ命懸くるほどの空にはあらず

2022-043:小説  いまだ書きくだされてさへいないのに小説の筋に笑ふ怪しさ

2022-044:把  十把ひとからげにされるのを繰り返しても大丈夫、結局ひとり

2022-045:辿  原典を辿つてゆけば難しき語にも出会ひぬ休日の午後

2022-046:丹  あをによしの「に」は丹であり光明の丹ならむおそらく毒を含んだ

2022-047:矢印   階段の踊り場突き当りの壁に矢印はあり壁に向かひて

2022-048:陶  かつてこの陶器の町に煤の雨降らせた煙突は蔦にからまれ

2022-049:綴  文字のその不思議な線は糸のごとからまりながらわたしを綴る

2022-050:棒  かつて阿部公房を書き写した日小説「棒」は人間を描けり

2022-051:かもめ  甲板に風の贈り物はいちはまたいちはひらりふはりとかもめ 

2022-052:茂   あかねさす岡井隆はぬばたまの斉藤茂吉の戦後を綴る

2022-053:映   映画館から出でたれば現身をすこしぬくめて陽の光あり

2022-054:雰囲気   雰囲気を変へるスカーフ首に巻きTPOなる言葉を思ふ

2022-055:閑   物は散らかつてゐるのにこの部屋は一人ゐる時閑散とせり

2022-056:亡   ハロウィーン主役となつた亡霊が練り歩きをり平和な街に

2022-057:憧   折々に訪ねる場所になりにけりかつてひたすら憧れし古都は  

2022-058:毒   草花を枯らす海風大丈夫これは塩でも毒ぢやないから

2022-059:出身  国産と書かれて売られゐる鰻その出身は他所かも知れぬ
 
2022-060:濡  コート濡らさぬためのコートを選びをりたぶん着ることないかもしれず

2022-061:継  おほてらは継がれつがれて生きてをり観光客の戻りし古都に

2022-062:シンデレラ  シンデレラ城の写真はきらめきて若者たちの人生言祝ぐ

2022-063:伸  伸びて行く影はそのかたちのもとの誰かの持ち物にあらぬ不思議さ
                                                              
2022-064::罵  罵詈雑言罵詈雑言とぞ土砂降りの雨は降りをり部屋ごもる夜

2022-065:枚  ライトアップされたる夜の千枚田こはごは降りる細きあぜ道

2022-066:平凡  知る人は知る昭和なり本屋には週刊平凡月刊平凡

2022-067:密  まるで自虐のやうになんとも過密なる日程を組む連休の旅  

2022-068:帝  神無月神に非ざる炎帝は何処に行く先見つけて去つた

2022-069:大事  とても大事なことは言はない約束は語られぬまま守られてをり 

2022-070:儲  信者とふ言葉一文字に縮めればつまりさうなり儲かるらしい       

2022-071:トルコ  青色のトルコ絨毯掲げられ路地裏の商店街にもクーポン

2022-072:遣  荒波に丹の色映えて遣唐使船は明石大門を越えた    

2022-073:歪  見ぬはうがわかるか世界は情報が歪曲されたそれしかないなら 

2022-074:荷物  フロントに荷物あづける行列の理由はさうクーポンの手続き説明

2022-075:償   絶妙のあたたかさもて冬の陽は寒風を償なふやうに射しをり 

2022-076:睨  どの角度でも睨まれてゐるやうにほんとに見える掛け軸の虎

2022-077:与  知らぬ間に貸与期間は越えてゐて慌てて読み了へる図書館の本 

2022-078:青春  イメージとちがふが誰でもできるわけではないことをするのも青春

2022-079:尋  さういふこともありさうな理由で盗まれた千尋といふ名の少女の名前

2022-080:疎  何となく疎遠になつた親戚のやうに最近見ぬ赤蜻蛉

2022-081:比喩  無論比喩、比喩ですともと念を押すうしろに実は潜む悪意は  

2022-082:涼  涼しいといふ感覚は二た月も前に失せにき神無月の風

2022-083:ドレス  仕事ではドレスを着たることはなく遊びでも着たことは無かりき

2022-084:眺  眺望は過去のすべてと開設をされたる部屋にうつすらと明日 

2022-085:浴  陽を浴びて伸びをしながら猫が行く寺の庭なりひがな陽を浴ぶ

2022-086:鮮明  鮮明に遺跡のかたち顕はされなほ隠さるる大事なことは

2022-087:堕  「堕落論」タイトルだけでやんなるが坂口安吾は文豪である

2022-088:耽  大きなる樹木に集ふ小鳥たち囀りに耽り季節は過ぎぬ

2022-089:赴  九州に赴任をしたる者どもの怒りしみじみ令和に積もる

2022-090:しぶき  打ち水のしぶききらめく観光の町の風情は江戸の香りす

2022-091:秩  秩序正しく、秩序正しく、あつ、政治家様、困りますつてば。秩序正しく!

2022-092:冷  冷しうどんを「ころ」と呼びたる土地柄に驚きし日を名古屋と呼べり

2022-093:無駄  無駄にした紙も時間をわたくしを決して無駄にはしてゐなかつた

2022-094:誓  手を置いて真摯に誓ふ台もなく聖書もなくて日本の法廷

2022-095:凄  暗渠にはきよとんと仔猫座りをり機嫌損なへば凄むらんこの仔    

2022-096:飯  朝食に昨夜の残り物を出す残り物なれど鯛飯は美味し

2022-097:特別  特別な日のため設へる部屋のさあ散らかつた物を如何にす

2022-098:酔  酔狂な祭りに遭へば面白し誰にとつてもここは異国だ

2022-099:白  白き陽に揺れてかがよふ糸の内に小さな蜘蛛の食卓はあり

2022-100:翌  翌朝の目覚まし時計セットするかはりにスマホに打ち込む数字を

# by HIROKO_OZAKI1 | 2022-11-06 19:14 | 短歌と短歌論


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