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月の櫂

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桜が満開の名古屋、二葉館から文化のみち

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地下鉄高岳駅から、文化のみち二葉館文を経て、白壁、主税町、橦木町界隈から、名古屋市制資料館までを歩いた。

先週の16日(土)、「岡井隆講演会・シンポジウム」の聴講のために
出かけた時は、まだ桜はちょうど咲き初めた頃合だったので、そろそろ
満開だろうと目星をつけた今日、もう一度訪れてみることにしたのである。

思ったとおり、高岳から二葉館までの通りの桜は満開だった。
平日なのに、たくさんの人が、カメラを構えている。
桜には、鶫だろうか、しなる枝にとまって懸命に身を伸ばしながら、
桜の花の蕊をつついている。

今月いっぱい開催されているという企画展、
「岡井隆の世界~現在、そしてこれから」を、もう一度、じっくりと見る。

前回は気が付かなかった発見もいくつかあり、例えば、以前、ふらんす堂の
ホームページに毎日更新される形で掲載されていた、日々の短歌は、実は、
一週間分まとめて書かれていたのだ、ということを、その原稿を見て知った
のだった。前回は、一体私は何を見ていたのだろうか。

ところで私は、そのふらんす堂のホームページに日ごと更新される短歌を
見ながら、岡井隆氏は、パソコンの操作は一体どのようにされているのだろう、
毎日一首を、メールか何かで編集部に送られているのだろうか、ご家族が
送ってられるのだろうか、と思いを巡らしていたのだったが、謎が解けた
のである。

ここの近くの主税町というところで、岡井隆氏は少年時代を過ごしたという。
あかぬけた高級住宅街。戦争で焼けてしまったというが、この界隈は、
「文化のみち」と称され、街のおもざしが、街並み保存によって残されて
いる。

門扉が昔の風情でその奥は最新の御殿のような高級マンション、昔からの
たたずまいの教会。途中、公園のベンチに座ってサッカーをする小学生を
眺めながら休み、二葉館同様、展示や貸室として公開・利用されながら
保存されている橦木館を見学する。

福沢諭吉の娘婿で電力王と言われた福沢桃吉と女優川上貞奴の館である二葉館、
フランス料理店として公開されている、旧春田鉄次郎宅、そして、輸出陶磁器商
井元為三郎宅だったこの建物も、大正時代の、名古屋経済界の経営者等が
住まい兼社交場として構えたという建物であるらしい。

道路側には、「大正ロマネスク」そのもののような洋館のつくりの小さなホールと
食堂、テラス等があり、その奥は、広い日本家屋のつくり、生活の場として、畳の
部屋がいくつも連なっているのが大体の共通した建物の構造であるらしい。
ステンドグラスは日本製で、大正時代のアールヌーボーそのもののよう、二葉館の
ものも、橦木館のものも、どれもが美しい。

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橦木館には、昭和8年現在の、この界隈の住宅地図が展示されていて、ちょうど
現在のゼンリンの住宅地図みたいに、居住者の名前が家ごとに記載されているのだが、
私は、しばらくじっとそれを見つめ、主税町あたりの「岡井」という名が記されているお宅を
探したのである。ところが、いくら目を凝らして、一軒一軒なめるように探しても、見つからない。
これは昭和8年の地図だから、時代はまさに、岡井が生まれ、育った時代であるはずだ。
だが、そこで私は気がついたのである。岡井隆が生まれたところは、この場所ではなくて、
御器所であり、それが確か、ちょうど、昭和8年であったのだ。地図には、当然、まだ、
岡井家は存在していない。同時代といっしょくたにしてはいけない。

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二葉館では、岡井隆・岡井華子・岡井弘の3人の歌人の作品が続けて掲載されて
いる「東海アララギ」のページが開かれた状態で展示されていた。
ノリタケの技術者であった岡井隆の父・岡井弘のセラミックの歌。
明治期、ノリタケは、ここ主税町に工場を集中させたのだという。

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橦木館の入り口近くの、今はカフェになっている部屋で、かわいらしいステンドグラスを
眺めながら、あたたかなココアをいただいて、帰路についた。

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   二葉館-文化のみち     尾崎弘子

ぷるぷると冷たき風に揺れながら桜、花喰鳥に彩られ

心地よく設へられたソファに沈むMadame Sadayakkoサロメの幻

茂吉ならぬ桃吉について学びつつステンドグラスの室にまどろむ

文学の小部屋に散りばめられてゐて宝石のやうだ春の時間は


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by HIROKO_OZAKI1 | 2013-03-22 00:04 | おでかけ
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